男はあるすがすがしい朝を迎えた。
ここの処、休みも少なくハードなスケジュールをこなした後のささやかな休日の朝だった。
AM7:35。けだるさの残った体をおこし男は朝食をすませた。
そう、今日のこの日はこの男にとって少し特別な日だった。
男が男である為のアイテムを入手する特別の日だった。
ゆっくりと過ぎていく休日の朝を久しぶりに楽しみながらふと時計を見た。
AM10:00。「そろそろ行くか!」男は愛車に乗り込み運転手に行き先を告げた。
場所は大阪某所。男の自宅から車で1時間ほどの所であった。
行き先の車の中、男はその実迷いがあった。「エクスプローラーTにするか、サブマリーナーデイトか?」
男の仲間の意見はまっぷたつにわかれていたのだ。「後は見てからだな!」そう思った時、車が止まった。
車を降りて10分ほど歩くとその場所はあった。あるビルの1F奥。
まだ開店したばかりの店内は従業員が3人。男2人・女1人。こぢんまりしたいい店である。
男は話した「先日、TELしたものだが、例の物を見せてもらえるかな?」
「かしこまりました」奥の席に通され、待っている間、男はこう感じた。
「妙に従業員がしれーとしているな!」男はある特別な力を持っていた。
それは読心術。心が読めるのだ。
少し緊迫した空気の中、男はその力を従業員(女)に使った。
「ふんっ、どうせ見るだけで解らないくせに!だいだいTシャツにジーンズにリュックってのはどうなんっっ!?」
男は思った。「ちっ、違うんだっ今日は頑張って貯めに貯めた500円玉貯金を使って本当に買うんだぁー」
従業員(男A)は次に入ってきた年配のグレイヘアまじりのダンディーな男に接客を始めた。
年配のダンディーな男はこの店の常連らしく従業員(男A)はペコペコとニコニコとへいこらしいてた。
「むっ、やるな、あのダンディーな男。」と男は思った。
そうしている間に従業員(男B)がエクスプローラーTを持って目の前に置いた。
まるで宝石を扱うように丁寧に手に取り、手渡そうとしたが
顔がこわばっている。男はすかさず力を使ってみた。
「おいおい、これ新品やから傷つけんなよっ。持ち方気を付けて、あっ、はめるときは
気を付けて・・・・・だいたほんまに買うんかい?」
「やっぱりうたがわれているっ。男は今日この日の為に貯めてきた500玉貯金を万札に換えて持ってきてんねん。
気に入ったら買うって」
男は思った。「こうなったら秘技をを使うしかない!」
その秘技とは従業員(男B)
の時計の説明がまだ途中にも関わらず
「うむっ、これを買おうかっっ」
従業員(男B)の顔がすこしほころんだっ。「お支払いはどう・・・」「現金でっっっっっ!」
従業員(男B)の顔が完全に笑顔に変わった。男はさらに力を使った。すると
「やるなっ、この男っ」男はこうしてエクスプローラーTを手に入れた。
しかし、この運びの為サブマリーナーデイトをチェックできずに買ってしまったのが、少し心残りだった。
しかし、今は気に入っている。「まさにシンプルイズベストだっ」と。
今日も男は傷が付かないようにびびりながら、仲間に「指紋つけんなよっ」
といいながら鹿の皮で拭きながらロレックスをしている。
そして男は「まさに男のアイテムだっ」とご満悦なのであった。
AM7:35